今日の目的地は延岡の予定だったのだが、これがまた見当違いな目的地設定であったことは追々話そう。とりあえず、大分まで行こうという事になったのだが、別府から大分までの海がとにかく綺麗であった。別に海水浴場が有るわけではないのであるが、あそこまで透明度の高い海は見たことがない。もし、ビーチでも有れば間違いなく海に飛び込むのに。それにしても鹿児島の錦江湾は一体何だったのか。東京湾より濁ってたぞ。もちろん、汚染のせいじゃないだろうが。綺麗な海はともかく、別府から大分までの道はとにかく危ない。
車を運転する人にとっては、海岸線沿いの道を爽快にドライブできるだろうが、自転車に乗っている我々にとっては景色がいいのは間違いないのだが、交通量が多く歩道も狭いため、運転しにくくてしょうがないのだ。
大分市に入る前に、目の前に高崎山の猿の看板が飛び込んできた。それとともに、延岡まで140kmという衝撃的な看板も同時に発見してしまった。複雑な気持ちにしばらく悩まされた。まさか、140kmもあるなんて、という驚きと猿を見たいという、好奇心。しかし、もしここで猿を見てしまったら、延岡は確実に行けなくなる。思えば、朝御飯前に大分まで行こうと軽い気持ちで出発したのに、未だに大分にも着いていないのである。それでも、せっかく、高崎山の入り口の前まで来ているのだ、と結局、猿見学をする事にした。今思うとこれは堅実な選択であったと思う。別府では危うく、「地獄」にだまされるところであったが、この猿山は違った。はじめは、猿を放し飼いにしている程度だろうとおもっていたのであるが、実際はしっかり群をなして行動しており、野生の迫力というか、気軽に近づいてふれることは恐くて出来ないほどであった。そして、その数もすごい。あそこまでうじゃうじゃ猿がいるとは思わなかった。ここで、猿を観察しながら生きている人もいるが、そういう人の気持ちも少しは分かる気がする。小猿もかわいいし、親子の情愛も伝わってくるし、一頭でぽつんと座っている猿の孤独も伝わってくる。我々、人間の生活をわかりやすく示しているようだ。ところで、韓国人を中心とした外人さんが、多数来ていたが、このような施設は受けがいいだろう。逆に「地獄」はあの値段から推測すると、
外人さんを満足させられるか怪しい。
猿山は、自信をもってお勧めできる観光地だ。
猿に別れを告げて、高崎山を後にしたが、もう延岡は半ばあきらめかけていた。
延岡まではずっと海岸線を行く予定であったが、これがまた峠の連続でひっじょーに大変であった。実際に峠とまではいかなくとも急勾配が多く苦労した。しかし、別府湾の海はやはり美しく、涼し気でついに我慢できなくなり、佐賀関半島のどこかの砂浜に降りた。ただ海にはいると塩水でべとべとしてしまう上に、無料のシャワーもなかったので、足だけつかることにした。結局30分ほどで、その場を離れた。
しかし、その後再び美しい海にひかれて、とうとう臼杵の手前にある白木ビーチなるところで結局海水パンツを所持していた私は海に飛び込むことにした。本当は先を急ぎたかったのであるが、宇田川が私が海にはいるのなら、時間をとってもいいと言ったので遠慮なく海に入った。しかし、気持ちいいことは気持ちいいのだが、いざ、海には行ってみるとそれほど泳ぎの得意ではない私はすぐに飽きてしまい、砂浜にあがって体を乾かしながら日光浴を楽しんだのであった。天気もよかったし、もう少し長居していたらいい具合に焼けたのに残念である。
地図上では、大した距離には見えないのであるが、自転車にとりつけたメーターを見ると、普段ならそろそろ目的地に着くくらいの距離を示している。なのにまだ津久見だ。せめて佐伯くらいまで行きたいのだが。あたりは薄暗くなり始めている。めし屋を探して入ると、漫画がたくさんあり、カレーを注文して漫画を読みふけってしまった。店をでる頃には、あたりは完全に真っ暗になり、これ以上先に行くことは不可能になっていた。この町には宿の一つも見つからず寂しいものであった。ビジネスホテルは1つ有ったが、我々はもう野宿でいいや、とあきらめていたので、どこか野宿できそうなポイントを探すことにした。 しばらく行くと、町のはずれにゲートボール場を見つけた。ここには、おじいさん達の休憩所のような小屋があり、中にソファーもあったがなにか汚そうであったので、そとのベンチで眠ることにした。宇田川は落ち着きがなく、なかなか寝るそぶりを見せない。変なおじさんはさっきから、ゲートボール場をぐるぐる回っているし。車はうるさいし、結構寒いし、蚊もいるし、眠る環境としては最悪である。それでも、少しうとうとし始めた頃、宇田川はやはりここで眠れないと、公民館の玄関に向かっていった。私はここを動くつもりはないので、彼にはついていかなかった。そして、疲れだけがたまったこの長い一日が過ぎていったのである。しかも、自転車のメーターは、しっかり80kmを越えている。