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   6日目 門司→耶馬渓 (8月20日)

 さて、ここ門司はこの旅の折り返し地点といえるわけだが、その帰路については、国東半島の海岸線を回るか、中津から湯布院を通って、別府に出るかの2案があった。私は、前から湯布院を見てみたいと思っていたし、海岸線を通るのは明らかに遠回りな上、海岸線沿いだからといって、峠がないわけではないということは十分すぎるほど痛感させられていたので、迷わず後者の案を採用した。

 と言うわけで今日の目的地は本耶馬渓にあるサイクリングセンターにする事にした。中津まではすんなり行くことが出来たのであるが、そこから耶馬渓への道を見つけるのに、危うく通り過ぎそうになるなど苦労させられてしまった。中津には福沢諭吉のすんでいた旧家が有ったのでぜひ見学したかったのだが、耶馬渓にいく道を探すのに一生懸命であったので、気付いたときにはもう、手遅れであった。

 耶馬渓も近くなり、レストハウスでサイクリングセンターの予約をするために電話をかけた。ちなみにここには、この時通行止めであったが江戸時代に作られた、岩山を掘った手作りのトンネルが有ったのだ。しかし、隙間が多く外から見る分にはいい景色だが、実際あそこを車で運転しろと言われたらなかなか勇気がいる。

 さて、電話の結果だが予想通りというか、いつものことと言うか、宿泊客で一杯らしく、そこに泊まることは不可能になってしまった。さて、どうしようか。耶馬渓には温泉はないのだが、深耶馬渓までいくと、温泉が有るらしいので、そこまでがんばって行ってみることにした。なぜかわからなかったが、やけに温泉にこだわった旅でもあった。

 ところが、道を進むにつれ、天候が非常に悪くなり、急に暗くなって、さらに遠くで雷の音が聞こえた。この先は、ずっと山道が続くのでこのまま走り続けたら、下手したら、落雷にやられる可能性がある。ちょうど通り道の途中にあった神社の境内でしばらく様子を見ることにした。雷の音は聞こえるのだが、いつそれがこちらにくるのかがわからない。次第に不安になってきた。時間も遅くなり、あたりは急に暗くなってきた。  ここで寝よう。ちょうどその境内は、よく掃除されているのか、大変に綺麗であったので、寝るのに十分であった。そのうち、大雨が降って、雷鳴がとどろき、あたりに閃光が走った。やばい。あせってもしょうがないので、とっとと眠りたかったが、まだ7時にもなっていないのに寝れるはずがない、小さな境内なので雨が入ってくる。しかし、雷はいっそう強くなり、マジでこわくなってしまった。宇田川にカメラで閃光をとれと言ったが、私はただただ恐かった。そうこうしているうちにうとうとし始め、そろそろ寝ようと思ってすぐ、宇田川が誰かと話している声が聞こえた。その後、懐中電灯の明かりで目を開けた。隣にあるガソリンスタンドの親父さん(塩田さん)が、心配して見に来たのだ。こんなところで寝ていたので、怒られるのかと思ったが、なんと家に泊めてくれるらしい。私たちが、パンひとつで野宿しようとするところを見ていたらしいのだがそれが不憫に見えたのか、我々が哀れに写ったらしい。

 京都旅行でも体験できなかった、他人の家に泊まるという、ことに好奇心旺盛な私は遠慮もせずに、おじゃますることにした。なんと、そこは結構な家で、私と宇田川の為に眠る部屋まで用意してくれた上、手巻き寿司をごちそうになり、さらにビール2本をあけ、風呂に浸かるという、いままで金を出して泊まった宿は何だったんだと思うほどのもてなしにただただ、感動した。おじさんも、おばさんもいい人で、あまり話さなかったが子どももかわいかった。猫もいたが、関村の家のバカな黒猫と違い、品のある真っ白な猫である。ただ、我々が食べていた酒のつまみには強い興味を引かれたらしい。そうそう、遠慮なくつまみをたべすぎた。  田舎のほのぼのした家庭の雰囲気を楽しむこともでき、本当にいい経験をしたと思う。食後、しばらくおじさんとおしゃべりをして、気持ちよく眠ることが出来た。(夜中に猫の気配を感じたが)一時は野宿寸前までいったのにこんなに贅沢をして良いのだろうか。 ありがとう。塩田一家。

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