私の腕時計はアラームの時間を六つ設定できるのであるが、それが何回なっただろうか。まず、関村が起きた。彼はあさ早くからサークルの用事が有るらしい。ここは、大学のラウンジ。博多まで来てこんなところで眠るとは思わなかった。その後、再び関村の家に戻り、荷物を取って、バカ猫に別れを告げて外に出た。関村の奴、生意気にも原チャリに乗っていやがる。大通りに出るまで、関村に道を案内してもらった。彼もなかなか変わったなぁ。と最後にしみじみと思う。いよいよ関村に別れを告げ、福岡を後にした。関村は原チャリで車の波の中に消えていった。
先に書いた通り、本当は福岡にもう一泊するつもりでいたのだが、また大学のラウンジで寝させられるのもバカみたいだなとおもい、なんの未練もなく関村と別れた。ただ、昨日は酒を飲んだ上、カラオケで熱唱してしまったため少々疲れてはいた。
朝御飯は博多に新しくできた、なんとかとうホテルだかなんだかよくわからないところの喫茶店ですませた。直後、宇田川が道を大きく間違えそうになったため、私は半ギレしてしまった。まあまあ、しょうがない。とりあえず、今日は九州の最北、門司までいく予定だ。比較的何事もなく、門司までたどり着く。
北九州から門司に来る途中、小さなラーメン屋に入ったのだが、鹿児島でまずい200円のラーメンを食べて以来ラーメンから遠ざかっていた上、非常に腹が減っていたので、この何の変哲もないラーメンが大変おいしく感じた。替え玉まで頼んでしまった。ここのラーメン屋に漫画がおいて有ったので、読みながら食べたが宇田川の漫画を読むスピードはちょっと遅い。あ、私があまり字を読んでないせいか。とにかく思い出に残るラーメン屋である。
美しい港町、門司。鹿児島を出発した私たちはとうとう九州の端から端まで来たのだと感慨深く今までの旅を思い出す。(ほんの数日だが。)それとともに、まだ半分来ただけという現実を見つめなければならないという複雑な思いもあった。そう、まだ半分なのである。この旅は九州縦断ではなく一周なのだ。もはや一周することに迷いはなかった。門司は夜景が大変美しかった。港町の夜景、特に月明かりに照らされる線路が大変印象的であった。公園前の踏み切りのすぐ横にトンネルがある。辺りが真っ暗なせいだろうか、このトンネルは我々の知らない世界まで続いているのではないかと思わせるほどの異様な不気味さを漂わせていた。頭上に見える本州につながる橋も現実感がない。本州上陸の野望を胸に、出発したのだが、行けども、行けども、その橋に通じる国道にたどり着くことが出来ない。疲れと共に面倒くさくなり、さらに宿の門限も迫っていたので、橋まで行くのを断念して途中で戻ってきてしまった。
すぐ手の届きそうなところに本州があった。山口の光も見えていた。
今日は無理でもいつか絶対に海の向こうからこちら側の夜景を眺めるときが
くるだろう。
門司では海員会館なる宿に泊まったのであるが、ここの宿は一泊2000円程度と格安な上に、風呂も大きくはないが、清潔で綺麗だ。さらに部屋も広く最高であった。