[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」

6日目(8月18日) 御前崎→浜名湖→豊橋

 オートスナックでの夜明け。5時頃には目を覚ましていた。国道はたまにトラックが通る以外はいたって静かだ。細波の音がかすかに聞こえる。オートスナックのすぐ後ろは、海であることに気付いた。しばらく静かな海と美しい朝焼けを眺めていた。 そのうちイケモンが、ようやく起きた。「いくか・・・。」  


 静かな1日の始まりにその日の壮絶な旅路を想像することなどできはしなかった。この旅で最も早い6時に出発した。7時には御前崎に着いた。航空自衛隊の基地があったので突入しようかと思ったが、守衛が目を光らせていたので断念した。御前崎灯台によった後、ウミガメの産卵地でもある海水浴場の脇を通り、御前崎を後にした。この辺も気持ちのよいサイクルができた。海側の道に白い砂がつもり走りにくかったが、それも海のすぐ横を通るものの宿命であろう結構乙なものでもある。

  御前崎をすぎた後、遠州灘を望む南遠大砂丘でしばらく瞑想をした。俺はかなりステージが高いので、5分ほどで瞑想は終了した。これは、御前崎から天竜川の河口まで30kmも続く壮大な砂丘である。この辺も何の問題もなく通り過ぎた。今日は、この旅の中で最も調子がよいとこの時は思っていた。ちなみにこの日の目的地は、浜名湖である。御殿場で出会った旅仲間がここの温泉会館で泊まった、といっていたので、俺たちもそこを目指しているのだ。国道150線を突き進み、天竜川を超えて、浜名湖には14時45分頃には着いた。またこの付近で、新宿からの累積距離が、400kmを突破した。

 浜名湖の海水浴場で泳ごうとしたが、海に入った瞬間大量のクラゲが見えたのですぐに海岸にあがった。浜名湖には、新居浜温泉と舘山寺温泉がある。まずは、新居浜温泉の周辺を探したが、温泉会館のようなものはなかった。(ちなみに我々が求めているのは仮眠設備のある温泉会館である。)そこで、新居浜のコンビニで、観光地図を見ていたところ、浜名湖の北の三ヶ日町の左久米というところに温泉会館があるのを発見した。新居関所後によった後、俺たちは三ヶ日を目指して、北上した。ちなみに浜名湖に入った時点で、走行距離は80kmを超えていた。新居町を越えると、店がなさそうなので、ここで夕食をすませようと「ガスト」にはいった。 しかーし、ここで大変な事態が起きた。 ケツがめちゃくちゃ痛い。いままでも、長時間自転車に乗っていたので、痛いことは痛かったが、それは筋肉や骨が痛かっただけのものであった。ところが今度のは間違いなく「痔」のようだ。トイレにかけ込みウェットティッシュで、ケツを消毒したときは思わず声を上げて叫びそうになった。こ、こんな調子で、三ヶ日まで行けんのか?30kmはあるんだぞ。とりあえず、アロエを大量に塗るという応急処置を行いガストを出た。いくしかない。三ヶ日までいけば温泉に入れるんだ。その考えが甘かった。

6日目第2部 まさかの豊橋   

 食事をとり終えた頃には、あたりはかなり暗くなっていた。それでも、前日は夜の走行をしていたので、多少離れたのか、それほど、あせりはなかった。三ヶ日に行くためには、浜名湖を半周することになる。これは、猪鼻湖と浜名湖の境界を横断することでもある。普通は、有料道路沿いの県道を通り、佐久米に出るのだが、猪鼻湖沿いに、サイクリング道路があった。イケモンはすかさずそこを通ると言い出した。なにか嫌な予感が… 道を進めば進むほど、その予感は強まった。そして、わけのわからん別荘地には行ってしまったとき、その予感が的中していたことに気付いた。俺たちの間違いは、地図を見れば明らかだった。いよいよ周りは暗くなってきた。俺もかなりイライラしていた。二人の間の会話が消えた。

 よややく軌道修正して、高速の下を通ったとき、温泉会館とかかれたぼろっちい看板を見つけた。危うく、温泉会館を通り過ぎそうだったが、俺の野性的勘で、その危機を乗り越えることができた。ようやく温泉会館に着いた。しかし、この日の悲劇は終わることはなかった。温泉会館の玄関には「本日の営業は終了しました」と書かれていた。もう、俺はその中に入って事情を聞く気すらおきずに座り込んだ。イケモンに事情を聞きに中に入ってもらったが、どうやらここには宿泊設備がないらしい。しばらくたって俺も中に入った。中には、営業主のおばさんとその友達らしき、おばさん数人もいた。いろいろいたわってくれ、まずい栄養ドリンクもくれた。そんなに、いたわってくれるのなら、二人ぐらい泊めてくれー!そのうち、おばさんどもは、「豊橋に健康ランドがある。」といいだした。えっ、豊橋・・・30kmはさきだろうか。そんなとこまで、ケツはもつのか?どうやら、ここには泊めてくれなそうだ。

 行くしかないか・・・はぁー。  いろいろな思いを胸に、自転車をまたいだ。ケツが痛い。三ヶ日を出たときは、すでに8時を越えていた。とにかく来た道を戻らなくてはならない。地方道4号線は、浜名湖の西端からでている。そこまでいく途中で、温泉会館にいた豊橋のおばはんが車を横付けした。乗せてくれんのか?ほんのちょびっとの期待 を持っていたがやはりあまかった。おばはんは突然先導してあげようか、と言いだした。ふ・ざ・け・ん・な!道くらいわかるわ。

 今の俺たちが車に着いていけるわけねーだろう。怒りを抑えながら、おばはんに礼を言って先に行かせた。地方道4号に入ってから、またしても峠を越えねばならなかった。こんな夜中に・・・・。化け物でも出そうな、暗闇の中、俺たちはまた自転車を降りた。こんな調子で豊橋に着くのか?しかし、ケツを痛めている俺にとっては、歩いていくことも悪くはなかった。トンネルの中で、県境をこえ愛知県にはいった。そこからは下りだ。できる限りとばして、10時頃、豊橋に着いた。思っていたより全然早かった。

  駅前の交番で道を聞き、10時30分頃、走行距離も140kmを越えたとき、「豊橋健康ランド」に到着した。 いかにもなたたずまだ。これは、確実に宿泊設備もありそうだ。案の定プラス1000円で、仮眠室を利用できるようだ。とりあえず、入浴料1800円を払い中に入った。なかなか立派な娯楽施設だ。いよいよ、風呂に入った。 疲れのたまっていた俺は、めちゃくちゃ感動した。 ただの風呂ではない。いろいろな種類の風呂がある。その風呂とは、ノーマル湯、漢方湯、水風呂、桧風呂、ミスト(高温の霧が出てる奴)、サウナ、ジェットバス、露天風呂、といったものである。天然の温泉はなかったが、俺はとりあえず、漢方湯で、痔の治療を行った。これは、かなり効果的であったと言って良いだろう。さらに、桧風呂やミスト、ジェットバスでその日の疲れをとった。ただ、水風呂とプールには入らなかった。心臓が止まりそうだったからだ。また、サ ウナも3分と持たずにでてしまった。まだまだ、サウナの良さを知る歳ではないらしい。  数々の風呂を堪能した俺たちは、さっそく仮眠室に入った。薄暗い部屋の中で、簡易ベットで横になる。テレビを見ているうちに、眠ってしまった。最悪の1日であったが、最高の夜であった。

<目次に戻る>