1なぜ京都?
7月のある日、俺は東大に在籍中の友人、池田(以下イケモン)に宛ててメールを書いていた。その時俺は夏休みの過ごし方について大変悩んでいた。何もしないのはつまらんだろうと、企業セミナーのお手伝いのバイトに申し込んだもののすでに締め切り。俺の夏休み計画は早くも崩壊してしまった。
「ま、まずい。」
このままでは、受験生時代よりつまらん夏休みになってしまう。何せ春学期は、不完全燃焼気味。このままでは収まりがつくはずがぬぁい!さて話を戻そう。イケモンに宛てたメールの内容は、筑波まで自転車でいかんないかというもの。筑波にはイケモンと同様に俺が結成したロックバンド「バルドネス」のメンバー、八木ちゃんの寮がある。そこまで遊びに行こうというわけだ。しかし、イケモンのリプライを見て愕然とした。そう、八木は免許合宿にいってしまうのだ。
「こ、これは・・・」再び目の前が真っ暗になってしまった。もう俺の夏は終わってしまうのか。しかし、まだ希望はあった。そうか、自転車か。別に筑波に行かなくちゃいけないってことはない。それならもっと遠いところに行こう。これなら、夏休みもだらだら過ごさなくてすみそうだ。その時浮かんだ最初の目的地候補は京都。俺の父の家がある。そこを拠点に市内観光もできるぞ。これはナイスなアイディアだ。さっそくイケモンにメー
ルを書いて送った。2、3日たって返事が来た。それはあまりうれしい返事ではなかた。京都まで電車で行こうというのだ。それも鈍行で。俺はがっかりしたね。彼はわかっていない。鈍行の旅は男二人で行くもんじゃない。景色を見る以外は二人だけの空間が展開されるんだ。そこで男二人何をかたれというのか。気まずいったらありゃしない。すぐに説得をした。今回は彼も素直に納得してくれた。
よし、行き先はどうしよう。やはり京都だな。暑さには苦労するかもしれんがしょうがない。目的地を決めてしまったらあとはそれに向かって取り組むだけだ。不安要素があろうとも目的地は変えられない。\par
一時すずしい北海道にしようかとも考えた。北海道を自転車で行くとしたら、やはり、あの島を一周しなければ気が済まない。中途半端は嫌いだ。さっそく、高校以来に日本地図を開いた。なつかしい落書きがある。やる気のない字で、工業ベルトが書き加えられている。あの頃は地理が嫌いで嫌いでしかたなかったなぁ。まぁ、それはみんな腐れ教師のせいだけどね。今回は地図を楽しく読めそうだ。北海道のページを開いた。げっ!でかい。北海道ってこんなにでかかったのか。一周は、軽く1000kmはあるぞ。北海道一周はあきらめよう。
これで、京都行きはめでたく決定。あとは具体的な計画を立てるだけだ。\\ しかしここで新たな問題が浮上した。我が母親の猛反対である。「かわいい子には旅をさせろ。」という諺を知らないらしい。しかし、母が反対する度に私の冒険心は掻き立てられ、意地でもいってやるという強い意志が固まった。こうした意地からどうにか母親を説得したがまだ詰め寄る。「野宿をするな。疲れたらすぐ帰れ。」ふざけるな!あれだけ反
対されたのを押し切ったのに、弱音が吐けるはずがないだろう。もうここまできたら、どんなことがあってもいけるところまで行くしかないのだ。
もう後戻りができなくなったところで再びイケモンと連絡を取った。そして、
第1回のミーティングを7月29日と決定。さらに鎌倉へ試走をする事も決め
た。いよいよこのプロジェクトが始動したのである。
2購入品リスト
今回の旅で俺が購入した数々の品について解説しよう。まずは地図。東名・中央道道路地図。(ユニオンマップ)琵琶湖から先が記載されていないが、この旅のルートのほとんどを網羅した大変見やすい地図である。東京・横浜・名古屋の1:3万の拡大図。さらに観光情報や、道路状況が直接記載されたカラフルな1:10万の部分図。本当は1:5万のものが好ましいが、長距離の旅になるため、なにぶん地図をかさばらせたくない。そこで、この1:10万のものにした。それでも、この縮尺にしてはよくできたものに作られている。
つぎに京都の観光ガイド。これは、琵琶湖から先の地図をかねて購入したがはっきり言って、地図だけでよかった。なにせ、京都には実家がある。本を買うまでもなかった。実際むこうではほとんど読まなかった。
さらに自転車での旅の心得がかかれた「自転車野郎養成講座」という恥ずかしい題名の本も買った。はじめは同じ作者の別作品しか見つからずこの本を発見したときは思わず声を上げそうになってしまった。さて、その本の中身といえば、自転車による北海道一周を目的としたステップアップ式のもの。はじめが5kmでだんだん距離がのびていくのだが、鎌倉への試走でいきなり100kmを越えてしまったために、本の主題がどこかへいってしまった。しかし、この本自体ステップアップ式にしておきながら作者はいきなり100kmをめざしてもよい,勉強などとは違い段落を越さねば次にいけないものではない。と書いてしまうほどである。さらに、内容的には目標距離ごとに章を変えているが、どの章を見ても、その距離の対策などはかかれておらず、ひたすら自転車で旅をする教訓がかかれている。よく主旨のわからん本であったが自分にとってはいろいろ教えられた書物であった。
自転車について
はじめはままチャリも考えたが現実的に考え、ブリジストンのクロスロードを購入。(55000円)タイヤが細くてでかい。悪路には弱いが、一般道では、安定した心地よい走りを実現してくれる。ギアは前3、後ろ7の21段。俺は3の6を愛用して使っていた。
ただ難点はバーハンドルであるという点とハンドル部分の高さを下げたかったがかたくて下がらず、サドルの高さを上げたかったのだが、何せ短足。足が地面に着かない。それはまぁ、当然のことだが、止まるときはサドルから降りてフレームをまたいだ姿勢にならなければならない。(これも当然)ところがそのフレームが高すぎる。下手にサドルから飛び降りたら、股間が強打されてしまうのだ。そのため長い信号では、完全に自転車から降りて信号が変わるのを待っていた。それでも、この自転車はすばらしい。イケモン車とは違い形が変にこっていないためこれからも安心して乗り続けるだろう。しかしこのような自転車には備品が何も着いていない。後ろのリフレクターとベルだけがくっついている。自転車立てくらい買おうかと思ったが、残り金が寂しいのに気づき、自転車屋での購入は断念した。
自転車関連の購入品
自転車関連商品はまとめてウォッシュマンに買いに行った。まずは水筒。これは自転車に直接つけるものと、腰にまくウエストポーチ型の二つを買った。自転車取付型は800mlはいるすぐれもの。ストローが内蔵してあり、水筒の口を吸えば、中身が出てくる。普通に下に向けても決して洩れない。さらに、走りながらでもとれやすくしてある、大した逸品である。(決して落ちない。)ただ、真夏ということもあって、この水筒に入れた水はすぐにお湯に代わる。よって、これは緊急や、怪我熱射病にかかりそうな時に使用た。
一方、完全にのどを潤おすために購入したものが後者の水筒である。これは、腰のポーチの収納におさまるようにできており、色が白いせいもあって、つめたい水もすぐにお湯になることはない。さらに、どんなに高速で走っていようが簡単に取り出すことができるのである。しかし、口で丈夫のふたを開ける仕組みになっていたのでよく舌をはさんだ。また、ポーチについた網の収納は小銭入れとして大変役に立った。
そのほかに自転車用のスピードメーターを購入した。これが今回の旅でどれほど役に立ったかはいうまでもない。しかし、二つあるボタンを同時に押すと、それまでのデータがきえてしまい、苦労することもあった。ちなみに機能は現在速度、走行距離、累積距離、平均時速、最高時速である。
あとは、サドルにのせるシートを旅の途中で購入した。これは、長旅のため痔になって
しまった自分のケツを守るため買わざるを得なかった。しかし、効果は精神的支えだ
け。ほとんど、自転車をかっこよくしているだけであった。
リュックその他の購入品
次はリュック。これはミレーの登山用リュック。見た目はそれほど大きくないが、その気になれば普通のリュックの倍は入る優れもの。それにみるからに、頑丈そう。ところが、どうもこのような旅に以外に使うにはごつすぎる。
続いての購入品は、2600円の白い帽子。紫外線を防止する優れもの。炎天下の中では、絶大な効果を発揮する。ところが、旅行2日目早くもその帽子は天寿をまっとうしてしまった。大変もったいなかったが、普段使うには少々格好が悪かったので後悔はしない。