Av.13.9km
Tm.5.58.59
Dst.83.94km
朝起きて地図を見る。分岐などがないので道に迷うことはないだろうが、峠の数が今まで以上に多そうである。今日は、本当につらそうだ。これで、雨でも降られたら非常に困る。とりあえず、鳥取砂丘を見ないと始まらないので、北に向かって自転車を走らせた。
鳥取砂丘は、たいしたことない、と誰かに聞いたことがあるので、あまり期待していなかったせいか、実物を見た時は結構感動した。砂丘の中を強引に自転車でつっこんだが、1mほど進んでリタイヤ。我ながらアホである。なぜ、あれほどの砂丘ができるのだろうか。今日もそうだが、雨は結構降っているはずである。乾燥している訳ではない。誰かが、こっそり雑草を抜いているのだろうか、などとくだらないことを話ながら、砂丘を海に向かって進む。昨日からの雨のせいで、砂が完全に湿っている。サラサラの砂と、風による模様をイメージしていたのだが、こればかりはしょうがない。
ここには、結構観光客が集まっていた。この砂丘で不思議だったのが、距離の短い、高さもないロープウェイである。誰が利用するのだろうか?あんなものを利用しなくても砂丘は広く見える。休憩所のレストランで、朝っぱらからカレーライスを食べ、砂丘を後にすることにした。
今の所はなんとか雨は止んでいる。9号線から、海沿いの178号線に移る。ここから厳しい道が続く。直線距離に直せばたいした距離はないのだが、やはり海岸線にそってくねった道が続くため、予想以上に時間がかかる。なんとか、昼には浜坂に到着した。市内には、温泉会館がひとつあったので、ここで泊めてもらおうかと本気で思った。取りあえず、昼も過ぎたので、近くの中華料理屋でラーメンを食べる。しばらく、休んだいたが、昼休みということで、追い出された。すっげー、暇そうだったのに。今さら昼休みはないだろう。泊まるところも決まらず、暗い気持ちで外に出ると、一瞬青空が見えた。久しぶりに青い空を見る。急にやる気が出てきて、予定通り城崎を目指すことにした。浜坂駅近くの本屋で、城崎の旅館を調べる。城崎だけは、まともな2食付きの旅館を予約することにした。8000円くらいならいままでの野宿もあるし痛い出費にはならない。しかし、昨日の米子といい、鳥取といい宿の予約に嫌われ続けていたので宿はうまくとれるのか不安になっていた。しかし、あっけなく予約できた。どうやら、運気はようやく上昇し始めたようだ。
しばらく、進むと完全に青空を確認できた。日の光が差し込む。うれしくて、うれしくて、涙が出そうになった。当たり前のことが、妙にうれしい。やっぱり太陽は偉大だな、と人生で始めて思った瞬間である。余部では、かの有名な余部鉄橋の下をくぐる。ちょうど、鉄橋を鉄道が渡るところであった。下には中年鉄道ファンが熱心に上を眺めている。鉄橋は高さがあり、幅も狭く恐そうだ。鉄道から見たら空を飛んでいる印象を受けるのではないだろうか。
香住町の峠では、横を通り過ぎる乗用車の運転手にどこにいくのか訪ねられた。どうやら、乗せていってくれるようだ。しかし、遥か前方に進んでいる、宇田川の姿は見えない。この車にも二人分の自転車をのせるのは難しそうなので、丁重に断った。しかし、ここまで1200km走っているのに、声をかけてくれたのは、彼が初めてだ。普通、あれほど苦しそうに峠を登っていたら、一声かけてもいいと思うのに。また、この山陰海岸の周辺にはかに料理をうたった民宿が数多く在り、食欲をそそられた。はやく城崎で飯を腹いっぱい食べたい。
この峠の頂上あたりまで来ると驚くべき光景が目の真に広がった。宇田川が警察に捕まっていたのだ。おいおい、なんかやらかしたのか?と心配して近付くと、どうやら身分を確認されていたそうだ。私も免許証を見せたのだが、警官は理由を教えてくれない。あまり揉めたくないので、素直に従ったのだが、同じく職務質問されている、リヤカーを引いているおじさんは、どうやらゴネているらしく、警官は困った顔している。理由ぐらい話してやれよ。鋳物師戻峠という、いかにも大変そうな名前の峠が最後の試練か。これを越えればいよいよ城崎である。確かに坂は急で自転車で登れるぎりぎりの峠である。しかし、これまで幾度もの試練を乗り越えてきた我々にはもはや敵ではなかった。大変な峠であればあるほど、下り坂が気持ちよい。城崎の中心に近付くにつれ顔がほころぶ。今まではかなり寂しいところに泊まってきたので、城崎の町の明かりが、なんともいえない。観光客も多く、賑やかである。まさに、理想の温泉街の風景を持っている。とにかく、予約した旅館へ向かう。しかし、少し中心から離れている。おそらく1kmは離れているだろう。辺りも寂しくなってしまった。それでもなかなか、綺麗な旅館だ。それに女将さんが、陽気で親切だ。客はどうやら我々だけ。部屋に荷物を起き、まずは、旅館の風呂で汗を流す。落ち着いて考えると、弓が浜の温泉以来である。体調も完璧に復活したので大変気持ちいい。さっぱりしたところで、いよいよ食事だ。なんと、しゃぶしゃぶである。肉も野菜もたっぷりある。おまけに蟹もついてきた。宇田川が思わずビールを頼む。二人で乾杯すると、本当に涙がでそうになった。昨日、一昨日の悲惨さを思い浮かべると感激で胸が熱くなるのも無理はないか。まだ、ゴールでもないのに。とにかく、食べまくった。二人で「おひつ」を2回お代りした。実際食べたのはほとんど宇田川であるが、、、、お腹一杯になり、大満足である。
次はいよいよ外湯めぐりだ。今日は、もう遅いので2,3箇所廻れればいいか。しかし、一番近い外湯まで1kmほどある。調子にのって、浴衣を着ていったのだがこれがまた寒い。早く風呂に入らねば。旅館で借りたサンダルも足にあわず、早く歩けない。でも、こんなもの昨日、一昨日にくらべれば、たいしたことない。外湯はどれも、300円。旅館に泊まれば、ただ券を使える。まずは、一番近い地蔵湯へ。温泉に入るのに1km歩くっていうのも凄い。結局、往復4kmは歩いたか。地蔵湯は、大きくて清潔感がある。一番、観光客向けに思える。しかし、湯舟の深さが中途半端である。座ると、顔が湯の中に沈んでしまう。それで、縁の段になっている部分に座ると、胸より上が出てしまう。結局、体をななめにするしかない。次に一の湯に入ろうとしたが、どうやら改装中らしい。ちょくちょく改装しているのだろうか。歴史があっても、汚いままだったら、お客は来ないしね。曼陀羅湯は、一般の銭湯のようなつくりだ。あまり大きく無いし客も少ない。ここを出ると、雨が降り始めた。親切にも、傘を貸してもらう。もう一ケ所、鵜の湯は、外湯のなかで、唯一露天風呂がある。別に景色がよいわけではないが、気持ちはいい。何かの研修なのか、団体で混んでいたのがちょっと不満。あいかわらず、雨は降っている。そのまま、宿に戻った。
すでに布団がしかれている。よく考えれば、こうして他人に布団をしいてもらうっていうのも結構贅沢なものである。宿の場所は確かに中心からは遠いが、本当に大満足の一日となった。明日は朝風呂に入るぞ。気持ちよく眠ることができた。