[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」

13日目 仁摩〜出雲 (10月13日)

Av.15.5km
Tm.3.22.30
Dst.52.54km

 目が覚めると、雨は止んでいた。相変わらず、寺の人には放っておかれている。決して嫌な気持ちになっているわけではないが。身支度を整え、玄関まで出たところで、ようやく奥から住職が表れた。満足に眠れたので、素直にお礼を行って外にでた。2、3日前より冷えているような気がする。いよいよ秋らしくなってきたのか。

 今日の予定は、出雲。距離はあまりないので、昼過ぎには到着するだろう。そう言えば、ここまで何度か温泉に入ったが、海が見える露天風呂はまだだな、と思っていると、多伎町に日本海が見渡せる露天風呂をうたい文句にしている温泉があった。これは、立ち寄るしか無い。しかし、標識にしたがって、温泉に向かうにしたがい嫌な予感がしてくる。どんどん海から遠ざかって内陸にすすんでいるのだ。ようやく到着したが、おもいっきり海から離れている。しかし、ここまで来たのだからと、中に入ると、案の定、露天風呂の遥か彼方にちょこっと日本海が見えるだけであった。もちろん、仕切りがあるので、風呂につかりながら、海を見るなんて、不可能である。 しかし、私は別に不満では無かった。露天風呂は広く、客も数人いるだけだったので、ゆっくり、ゆったり温泉を堪能することができた。さらに、ここの温泉は、ミネラルが豊富な地下水うんぬん、とウンチクをならべ、大変効能が強いらしい。そういわれると、なんか効いてきた気がするから不思議だ。とにかく、ここの温泉は非常に満足できた、といって良いだろう。温泉から国道に戻るのは、来た道を戻るしかない。 こちらからはすぐそこに国道がみえるのだが、水田に道を阻まれている。仕方なく遠回りして国道に戻ったが、実は温泉のすぐ先に国道に戻る道があった。苦笑しながら先に進む。温泉でリラックスできたせいでそれほどイライラしなかった。こういうのって大事。

 順調に自転車を漕いでいると、出雲の山々が見えてきた。背の低い山が連なっているのが荘厳な印象を強く受けた。雲も低く、山の頂上にかかっている。雲の切れ間から、日の光が差し込む。神秘的なイメージが湧いてくる。確かにあれは神の山のようだ。出雲市の中心に入る前に、左折して出雲大社へ向かう。お昼はとっくに過ぎていたのでお腹が空いていた。とにかく出雲そばが食べたい。腹を空かせて、走っていると、右手に道後温泉本館を思わせる、重厚な明治の木造建築が見えた。これが、国鉄の出雲大社駅だ。すでに、廃線になっているが、駅舎が素晴らしいのでそのまま保存されている。駅舎の中もそのまま。古い雰囲気がぷんぷんに伝わってくる。平成2年まで使われていたらしい。旅の終着駅が、あのような駅舎だと旅も楽しいのだろうな、と感慨にひたりながら、プラットホームに出た。線路もまだ残っている。生い茂る雑草が、少し寂しい。よく見ると、線路も途中で途切れている。そういえば、ここまで来る道が新しくなっていたが、もともとそこは 線路だったのだろう。  

 しばらく、駅舎の風景を眺めていると、腹がなったので、ガイドブックに載っていたそば屋に向かった。目的のそば屋につく。すでに、3時過ぎだったので店内はがらがらだ。私は、名物の3色割り子そばを食べる。そばの入っている器に直接、そばつゆをかけるのが特徴らしい。そばは、手打ちでふぞろいだが、こしが強くおいしい。予想以上にうまいのである。そば通を自負する私も感心してしまった。さすがに本に出ているだけである。そば湯も出てきたので、3つの器にそれぞれかけて飲む。別々の味が楽しめて、大満足である。出雲大社へ向かう前に、荷物だけでもおかしてもらおうとユースによる。今日はアポなしだ。あまり、愛想のよくない婆さんに玄関に荷物をおくことを許してもらい、部屋の準備ができる5時頃まで、出雲大社へ行くことにした。

 軽装になり、草履を履くと気分も安らぐ。今日は、50kmちょっとしか走っていないし、途中で温泉にも入ったので、体調は最高だ。徒歩で出雲大社の鳥居をくぐり、長い参道を越えて、本殿へ。目の前に有名なしめ縄が、飛び込んでくる。たしかに、建物も良い味を出している。本殿の周りを一周する。どうやら中は改修工事をしているらしく、本殿そのものはよく見えない。ここは、縁結びの神社なので、男同士でくるところじゃないんだけどなとふと思う。出雲大社の横には、ネオ出雲大社のようなものがある。さらに巨大なしめ縄と、近代的な本殿。なんで、ここにもうひとつ造る必要があるのだろうと、疑問に思った。神社では、神主が犬を追いかけている。お供物などが狙われるのだろう。犬もやせていて野性味あふれている。そんなのを見ていると、女性が二人、縁結びを祈願しているのか、厄よけなのか、神殿に上がってお払いをうけている。歌と太鼓の音も聞こえる。結構手間がかかっているようだ。シーズンではないのでサービスしているのだろうか。こ
 こでは季節外れのおみくじを引いた。大吉、小吉などは書いていないのだが、運勢が事細かに書いてある。そのうちの一つ、「旅よし、方角西。」について疑惑を持つ。これは宇田川のおみくじにも書いてあったが、出雲にお参りにくるほとんどの人が東からやってくるのではないだろうか?おみくじを木の枝に巻く。出雲大社では、楽しく時間を過ごすことができた。神社の出口でバットを持った子供にボールを投げていたお母さん、いい球投げてたなぁ。田舎らしい素朴な風景である。もっとも、その後お母さんは後方に現れた友だちと立ち話を始め、子供はバットを構えてひたすらボールを待っているという少々寂しいことになっていたが。

 それにしても、、出雲大社の周辺には、あまり観光客を見かけない。ユースも貸しきりだし。旧暦の神無(在)月は、11月からのせいだろうか。出雲では今が一番人がいない時期かもしれない。ユースに到着したのち、まず洗濯から始める。乾燥機が無い上、洗濯機も1回250円とバカ高である。日を追うごとに、ユースの洗濯料金が高くなっていくのは気のせいだろうか。物干竿に二人分の洗濯物を大量にかけた。他の客が来たら、どうしようもない。あまり気温が高くないので、明日までに果たして乾いてくれるだろうか。そのような心配を抱えたまま、とりあえず、夕食を食べにいくことにした。二人とも昼間の出雲そばを気に入ったので、別の有名な店にいくことにした。  出雲大社の周辺には多くのそば屋があるが、夜8時を過ぎると、どこも閉っている。街全体が早くも眠りについたようだ。案の定、目的の店も営業を終了していた。仕方が無いので、途中で見つけた小汚い、怪しいそば屋に入る。ここしか営業していない。店に入り、てんぷらそばを頼む。宇田川は割子そばを頼む。はっきりいって、すっごいまずかった。やはり、同じ出雲そばでも、店によってはまったく味が違う。結局、宇田川のそば湯も出ない内に店をでることにした。隣にあった、喫茶店で舌直しでもしようと思ったが、我々がそばを食べている間にシャッターが閉っていた。

 なんか、腹はいっぱいにならないし、いらいらしてきた。宇田川がビールを飲みたがっていたので、出雲大社の前の通りをしばらくブラブラしていた。しかし、一向にコンビニのような気の利いた店はあらわれない。先に進むのを諦め、ユースに戻る。なんか気分が悪くなってきたので、持参したビフィズス菌を飲む。あのそば屋のせいだろうか。運が良いのか悪いのか、ユースのすぐ近くに酒屋があった。ビールとつまみを買う。ユースでは、マガジンやサンデーを読んで、時間を潰した。どこのユースにも漫画雑誌をおいているが、決まって不揃いなのである。途中が抜けていたり、最近の号が欠けていたり、おそらく客が残していったのを置いているだけなのだろう。 片腹を空かせながら、眠ることにした。明日から始まる地獄も知らずに。

<目次の戻る>