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10日目 下関〜萩 (10月10日)

Av.16.3km
Tm.7.11.06
Dst.117.29km

 とうとう10日目だ。思えば遠くに来たものだ。地図を見ながら自分達の来た道のりを振り返るのが楽しい。いよいよここ下関から折り返して山陰路に入る。恐らくがらりと景色も変わっていくだろう。

 海員会館で目を覚ますと、珍しく宇田川が起きてこない。彼の部屋へ様子を見に行くと、やはり昨日と同じ体勢で眠っていた。電気もつけっぱなしだし、なんていう奴だ。酒のせいか、眠りが深そうだ。

 今日は萩まで行く予定だ。地図をみると結構距離がありそうだ。下関からは、191号線に沿って進んでゆく。豊北町まで北上する。そこから日本海を眺めながら東へ進む。JR山陰本線沿いの道路は、国道とはいえ、左手に海、右手に街とその先に山が見えのどかで非常に景色がよかった。決して直線の走りやすい道ばかりではないが、これらの景色と雰囲気の中を気持ちよくサイクリングすることができた。 確かこの辺りだったと思うが、短いトンネルの脇に崖沿いを迂回できる小道があった。宇田川はトンネルを そのまま進んだので、私は海が良く見える脇道にそれてみた。少し進むと、駐車している車の下に犬が横になっているのが見えた。目が会った瞬間、すごい勢いでワンワン叫びながら追いかけてきた。たいして大きな犬ではないが、不意の出来事にこちらは大いに焦り、急いで逃げた。狭い道を猛ダッシュで逃げたので後少しで木にぶつかるところだった。これにはマジでびびった。 他には、特に何ごともなく長門市まで到着した。時間は遅くなったが、温泉にはいりたい気分になり、三隅町の湯免温泉に浸かった。道路上の看板は覚えているが、温泉自体の印象はあまり残っていない。たしか露天風呂がゴミゴミしていたような気もする。温泉からあがり、大広間で横になって休んだ。この先には店があまりなさそうだったので、この温泉で夕食を食べることにした。食堂でカツカレーを食べる。なかなか美味しい。大衆の味だけど、一日自転車をこいだ後はどんな食事でも美味しいものだ。この時点で、表はすでに真っ暗になっていた。

 この段階で平和に過ぎると思った一日だったが、温泉の後に試練が待ち受けていた。湯免温泉から、萩に向かうには、海岸線沿いの地方道と、国道191号をそのまま進む二通りのルートがある。始めは、海沿いの道を進もうと思っていたのだが、どうしてもその道にはいることができない。逆方向に進んでしまうなど、道に迷ってしまう。結局、地元のおじさんの話を聞き、どちらの道も峠があるから、国道でいったほうがいい、というアドバイスに従い再び191号線に戻った。これだけで1時間近いロスである。しかし、ここからが本当に地獄であった。道は暗いし、風が強いし、最悪のコンディションである。持世寺の夜道とは比べ物にならない。あれがこの旅最悪と思っていたが、あっさり更新してしまった。今回は霊的な恐さはなかったが、登りが急で風が強いため、とにかく体力を使った。特に、鎖峠は、この旅一番きつい峠であった。このような旅を続けると多くの峠を通る。もちろん登る時は死にそうなくらいつらい場合が多いのだが、大抵は下りの気持ちよさにそのことを忘れてしまうのである。そのためか旅が終わった後でも印象に残る峠というのは意外に少ないのである。しかし今でもこれほど明瞭に覚えているこの峠はいかにつらかったが分かるだろう。頂上まで到達した時のうれしさといったら、なんと表現していいのかわからないほど。真っ暗で景色もなにも写らないのは分かっていたが、思わず記念撮影をしてしまうほど二人ともハイになっていた。無事峠を下り萩市内に入った。萩の街中でちょっと道に迷ったが、なんとかユースに到着。このユースもベットでいまいちだった。疲れがたまっていたので、風呂には入らなかった。洗濯だけして、とっとと寝てしまった。この日の走行距離117kmと走行時間7時間11分は、共にこの旅最長のものであったのは言うまでも無い。

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